キーの♯や♭の増え方には法則がある!五度圏(サークル・オブ・フィフス)で覚える12キーの法則

こんにちは、ベースライン研究所所長のたぺです。当研究所(サイト)にお越しいただきありがとうございます!ここを訪れてくれたあなたも既にベースをこよなく愛する研究員。共にかっこいいベースライン作りの研究をしていきましょう!

さて、このページを見に来てくださったあなたは、「キー(key)」についてはなんとなくわかってきたけど、

  • フラットとかシャープってどうやってつけるの?
  • 法則とかあるの?
  • シャープやフラットとキーの関係をどうやって覚えたらいいの?

というような疑問が浮かんできているかもしれませんね。
ここでは、キーとシャープ&フラットの関係をじっくり紐解いていきます!

キーってそもそも何?という方はこちらも一緒に御覧ください!

ベース指板でキー(Key)を覚える!全12(+1)メジャースケール早見表

動画でも解説をしました!

全12キーの法則を表す五度圏(サークル・オブ・フィフス)を覚えよう!

キーの話をする時に、絶対に忘れてはならないのが、五度圏(サークル・オブ・フィフス)という表です。
どんな表なのかは見てもらったら一目瞭然。
五度圏とは五度上と五度下に移動していく図
この円は「ある音の五度上(五度下)の関係にある音を表す図」なので様々な使い方をすることができますが、今回は全12キーの早見表的に使っていきます。

五度の「度」というのは、ある音からスケールの音何個分はなれているか?を意味します。

例えば、ドからソは「ドレミファソ」と上昇するように数えると5個はなれています。これを「5度上」と言ったりします。
また、ドからファに「ドシラソファ」と下降するように数えたときも5個はなれています。これを「5度下」と言ったりします。

余談ですが、ドからファは「ドレミファ」と上昇するように数えると、4個はなれているので、「4度(上)」と言ったりもします。
下とか上とかは紛らわしいので、時計回りは「5度」、反時計回りは「4度」と上昇で統一して表現することもあります。
私はこちらのほうが覚えやすいので、こちらで覚えています。

表を見ると5度下に行くとフラットがついているのは?

5個分はなれた音を「5度」で表を見てみると、フラット系には、フラットが付いているのがわかります。
「なんで、Fの次がBじゃなくて、B♭なの?」ということを感じた方もいるかと思います。

これは、コード理論ででてくる「完全4度」とか「完全5度」のようなことを知っておくとわかりやすいのです。
しかし、難しく考えるよりも、まずは「型」で覚えてしまったら早いです。

ベース指板で覚える、「五度圏(サークル・オブ・フィフス)」

ベース指板でこの関係性を覚えるために、まずは、指板の基礎知識を覚えておきましょう。

基礎知識1 同じフレットの高い弦は4度、低い弦は5度

同じフレット上の高い弦への移動は4度の動きになります。そして、同じフレット上の低い弦への移動は5度の動きです。

例えば、3弦3フレット(C)から2弦3フレット(F)へは4度の動き、3弦3フレット(C)から4弦3フレット(G)へは5度の動きです。

これはどのフレットでもどの隣同士の弦でも言えます。

基礎知識2 「2個高いフレットで1個飛ばしの高い弦」はオクターブ高い同じ音

ベースの指板は、「2個先のフレットで1個飛ばしの高い弦」はオクターブ違いの同じ音になります。
例えば、3弦3フレット(C)から、2個先のフレット=5フレットで1個飛ばしの高い弦=1弦は1オクターブ高いCになります。
これは当然逆に、「2個低いフレットで、1個飛ばしの低い弦」はオクターブ低い同じ音も言えます。
1弦5フレット(C)から見て、2個低いフレット=3フレットで1個飛ばしの低い弦=3弦は1オクターブ低いCになります。
弦を1個飛ばしにするので、「1弦と3弦」「2弦と4弦」にこの関係が成り立ちます。
指板上オクターブの関係性の図

五度圏(サイクル・オブ・フィフス)をかんたんに覚える指板図

上記2つの基礎知識を組み合わせると、以下のような関係性が成り立ちます。
ベース指板上の音の把握は、徐々にでも行っていかないといけないので、五度圏の円の図を一生懸命覚えるよりも、この図で把握してしまったほうが早いです。

4度(反時計回り)の五度圏早見表

フラット系4度進行

5度(時計回り)の五度圏

この後詳しく説明しますが、Cから4度の動きででてくるキーは♭系、Cから5度の動きで出てくるキーは♯系のキーです。

キーの♭と♯の法則を覚えよう!

【法則1】キーには♭系と♯系のキーがある

五度圏の図や、指板図で、4度と5度の動きで説明してきました。
そしてCを基準にして、

  • 4度(反時計回り)は♭系のキー
  • 5度(時計回り)は♯系のキー

という法則があります。
五度圏フラットとシャープの法則
境界線にある
Cはシャープもフラットもないキーです。
G♭とF♯は呼び方が違うだけで、同じ音を表しています。
つまり、G♭と呼ぶ時は♭系のキー、F♯と呼ぶ時は♯系のキーとしてどちらの仲間にもなります。

【法則2】♯も♭も1つずつ増えていく。

※ここからは、キーを英語名で表し、そのキーの内部の音を「ドレミ」で表します。
♯も♭もCから遠ざかるほど、1つずつ増えていきます。
具体的に言えば、Cから4度(反時計回り)で動いてFに行くと、♭系1番目のキーなので、キーFには♭が1つだけ付きます。

ナンバリング
英語FGAB♭CDE
ドレミ(伊語)ファシ♭
さらに、Fから4度(反時計回り)で動いてB♭に行くと、♭系2番目のキーなので、キーB♭には♭が2つ付きます。
ナンバリング
英語B♭CDE♭FGA
ドレミ(伊語)シ♭ミ♭ファ
この調子で、反時計回りにとなりに行くたびに、♭が増えていきます。

反対に、Cから5度(時計回り)で動いてGに行くと、♯系1番目のキーなので、キーGには♯が1つだけ付きます。

ナンバリング
英語GABCDEF♯
ドレミ(伊語)ファ♯

さらに、Gから5度(時計回り)で動いてDに行くと、♯系2番目のキーなので、キーDには♯が2つ付きます。

ナンバリング
英語DEF♯GABC♯
ドレミ(伊語)ファ♯ド♯
この調子で、時計回りにとなりに行くたびに、♯が増えていきます。
シャープフラットの増え方

これを覚えておくと、例えば、
「キーEの曲」と言われたら「♯4か」とかわかりますし、例えば五線譜に♭が3つ書かれていたら、「キーE♭」とすぐに分かります。

【法則3】♯も♭も「積み上げ式」で増える

♯も♭も五度圏にそって1つずつ増えていくことがわかりましたが、「じゃあどの音に♯とか♭はつくの?」ということが気になりますね。
♯も♭もランダムに付いているわけではなく、ある法則に従って増えていきます。

  • 増えていく時に、前についた♯や♭はそのままの積み上げ式。
  • ♯は7番目の音に付く。
  • ♭は4番目の音に付く。

詳しく見ていきましょう。

増えていく時に、前についた♯や♭はそのままの積み上げ式。

増えていく時に、前についた♯や♭はそのままで加算されていく、というのはどういう意味か?
具体例を表しましょう。
♯系1番目のキーはGです。

この時は♯が1つ「ファ」についています。
では次に、♯系2番目の音を見ていきましょう。

♯が2個に増えましたね。その2つは「ファ」と「ド」です。
1番目の時についた「ファ」にも引き続きついたまま、新たに「ド」に増えています。
では3番目は?

はい、やはり1番目と2番目についた「ファ」と「ド」には、引き続き♯がついたまま新たに「ソ」に♯が付きました。

このように、一度ついた♯や♭はなくなることなく、積み上げ式で増えて行きます。
では、この増える順番はどうなっているでしょうか?

♯は7番目の音に付く。

♯の増え方は、新しいキーの7番目の音に増やしていきます。

例えば、Gは♯1個のキーです。その1つはどこに付くかと言うと「ファ」です。「ソ」から数えて「ファ」は7番目です。

ナンバリング
英語GABCDEF♯
ドレミ(伊語)ファ♯
次のDは♯2個のキーです。ファ♯には引き続きついたままで、「レ」から数えて7番目の「ド」につきます。
ナンバリング
英語DEF♯GABC♯
ドレミ(伊語)ファ♯ド♯
もう1個見ていきましょう。♯3つ目はキーA。「ラ」から数えて7番目、「ソ」に♯が付きます。
ナンバリング
英語ABC♯DEF♯G♯
ドレミ(伊語)ド♯ファ♯ソ♯

このような法則で増えていきます。

♭は4番目の音に付く。

♯と同様に♭にも法則がありますが、こちらは「4番目」の音です。詳しく見ていきましょう。
♭系1番目のキーはF。ファから数えて4番目の「シ」に♭が付きます。

ナンバリング
英語FGAB♭CDE
ドレミ(伊語)ファシ♭
♭系2番目はキーB♭。シ♭から数えて4番目「ミ」に♭が付きます。
ナンバリング
英語B♭CDE♭FGA
ドレミ(伊語)シ♭ミ♭ファ
♭系3番目はキーE♭。ミ♭から数えて4番目「ラ」に♭が付きます。
ナンバリング
英語E♭FGA♭B♭CD
ドレミ(伊語)ミ♭ファラ♭シ♭

このように4番目に♭がつき増えていきます。
♭系は五度圏で4度(反時計回り)の増え方をするので、新しく♭がついた音が次のキーになります。

暗記しよう「ファドソレラミシ」

♯も♭も積み上げ式に増えていくことがわかりましたが、どうやって覚えておけばいいでしょう?
理屈がわかっても覚えられないならば意味がないです。
覚え方はかんたんです。

ファドソレラミシ

とおぼえてください。
このおまじないないは、
「ファドソレラミ(シ)」と読めば、♯が増える順番を表し、逆さに「シミラレソド(ファ)」と読めば、♭が増える順番を表します。

ぜひ五度圏とキーと♯&♭の増え方の法則は覚えておいてください。

このキーの関係が深く理解できたらこちらの記事も一緒にご覧になって知識強化を行ってくださいね!

ベース指板でキー(Key)を覚える!全12(+1)メジャースケール早見表

Q&A:♯と♭の疑問アレコレ

上記のことさえ覚えてしまえば、自動的に覚えてしまうと思うのですが以下の疑問を持つ人もいると思うので答えます。

スケールの中に♭と♯は混在しないの?
キーを表す時のメジャースケールに混在することはありません。
F♯とG♭のように、同じ音を表しながらも、♯で表すか♭と表すか選択肢があります。しかし、キーを構成するメジャースケールの音は♯系では♯だけを、♭系では♭だけを使って表記します。
例えば、キーAという♯3つのキーがあります。
ナンバリング
英語ABC♯DEF♯G♯
ドレミ(伊語)ド♯ファ♯ソ♯
この7つの音のうち、たとえば、6つ目の「ファ♯」を「ソ♭」と表記した場合
↓間違ったキーAの表記
ナンバリング
英語ABC♯DEG♭G♯
ドレミ(伊語)ド♯ソ♭ソ♯
こうなると、6番目が「ソ♭」7番目が「ソ♯」となってしまいます。
スケールを表す時は、基本的には1〜7番目の音は音名がかぶらないように表記します。
ナンバリング
英語ABC♯DEG♭G♯
ドレミ(伊語)ド♯ソ♭ソ♯
これだと、「ソ」が2つ存在し、「ファ」が1つもない!といういびつな状態になります。
これはいろんなパターンでやってみるとわかりますが、♯と♭が混在すると、必ずダブリと消滅が起こります。
なので、混在させることはないのです。
なんでキーA♭はあるのに、キーA♯とかないの?
キーA♯などは表記がかなり複雑になるからです。
五度圏(サイクル・オブ・フィフス)を眺めていると、♭系のキーはリーダー音(頭の音)が♭になることが多いのに、♯系は最後の「キーF♯」以外は♯がつかないことがわかります。
なぜたとえば、「キーA♯」などはないのでしょうか?これは、表現してみると、一目瞭然です。
キーA♯の作り方はかんたんです。
キーAのメジャースケール
ナンバリング
英語ABC♯DEF♯G♯
ドレミ(伊語)ド♯ファ♯ソ♯
のすべての音に、さらに♯をつけます。
既についている音にはもう1個♯をつけて、「♯♯(ダブルシャープ)」にします。
ナンバリング
英語A♯B♯C♯♯D♯E♯F♯♯G♯♯
ドレミ(伊語)ラ♯シ♯ド♯♯レ♯ミ♯ファ♯♯ソ♯♯
……どうでしょうか?♯だらけですよね。
こう表記する以外の術がないならば、仕方ないのですが、
例えば、ファ♯♯というのは「Fから半音2つ高い音」なので、それってつまり「ソ」なんですよね。
「ド♯♯」なら「レ」ですよね。そうやって考えた上で、♯♯の表記を消していきます。
また、「シ♯」は「ド」、「ミ♯」は「ファ」と同じなので、それも変換します。
ナンバリング
英語A♯CDD♯FGA
ドレミ(伊語)ラ♯レ♯ファラ♯♯
ですが、これだと、「ラ♯」と「ラ」のような「ダブリ」が生まれてしまい、消滅してしまった音もあるので、「♭系」に変換すると……
ナンバリング
英語B♭CDE♭FGA
ドレミ(伊語)シ♭ミ♭ファ
キーB♭になります。
つまり、キーA♯はキーB♭と同じなんです。
そして、キーA♯とキーB♭を比べた時、どっちが表記がシンプルでしょうか?
間違いなく、♯や♯♯だらけのキーA♯よりも、♭が2つだけのキーB♭ですよね?
なので、こうやって整理して考えると、キーA♯というような表記は作れなくはないですが、書かないのです。

まとめ:五度圏も指板上で覚えてしまおう!

はい、五度圏と♯や♭について色々と話してきましたが、知ってほしいことは以下のことです。

  1. 全12キーは五度圏を覚えれば法則がわかる。
  2. 指板上で、Cから始まる4度の動き(♭系)と5度の動き(♯系)を覚える。
  3. 4度の動きで♭が1つずつ増えていき、5度の動きで♯が1つずつ増える
  4. ♭も♯も「積み上げ式」で増える。
  5. ♯は「ファドソレラミ」、♭は「シミラレソド」の順に増えていく。合言葉は「ファドソレラミシ」

キーに使われているメジャースケール全12キーは以下のページで公開しています。

ベース指板でキー(Key)を覚える!全12(+1)メジャースケール早見表