今回は学祭ライブでも定番曲「Secret Base ~君がくれたもの~」のベースラインを弾く時のコツを解説していきます! この曲のオリジナルは、ガールズバンドのZONEですが、今回はSILENT SIREN(サイレントサイレン)のアレンジバージョンで、奏法・弾き方のコツを解説していきます。
こんにちは、ベースライン研究所所長のたぺです。当研究所(サイト)にお越しいただきありがとうございます!ここを訪れてくれたあなたも既にベースをこよなく愛する研究員。共にかっこいいベースライン作りの研究をしていきましょう!
この記事では、譜面ではなかなか掴みづらい演奏のポイントを解説していきます。ここに楽譜やタブ譜は掲載できませんが、ぜひ目で見て「耳で聞いて」感覚を掴んでくださいね!
【耳コピ】ベースライン&打ち込みドラム
さてさて、まずはこの曲のベースラインを聞いてみてください。ドラムとベースだけなので、ベースラインが聞き取りやすいかと思います。
※耳コピなので、若干原曲と違うところがあるかもしれませんがご了承ください。
※ベースパートは、1:05から始まります。
【リズム解説】「ハーフタイムシャッフル」の正体を見抜こう!
まずは「リズム」の話から。
ベースを始めたての頃は、「上手く指が動かない!」「この奏法が難しい!」ということの方に意識が向きがちですが、実は、それっぽく弾けない原因は「リズム」にあることが多いのです。
また、リズムがしっかり攻略できていると、「コイツ……デキるな!」とバンドメンバーからも思われること間違いなし! しっかりチェックしていきましょう。
リズムに関して、3つのポイント
・ハーフタイムシャッフル
・6連系のフィルイン
バラードで気をつけること
この曲は、非常にゆったりとしたテンポで、歌を聞かせる曲調、いわゆる「バラード」ですね。この曲のテンポはだいたい68くらいです。
テンポがゆっくりなので、指が追いつかなくて難しい! という問題は、あまりないと思いますが、間がたくさんあるので、粗が目立ちやすいという側面もあります。1音1音しっかり聴かせるつもりで、丁寧に弾きましょう。
また、ゆっくりなテンポは、しっかりリズムを感じていないと、”ダラダラ”とした間延びした印象にもなりかねません! リズムに合わせて、足並みを揃えて自然に歩くように、リズムを取りましょう。
ハーフタイムシャッフルとは
「Secret Base ~君がくれたもの~」のリズムは、「ハーフタイムシャッフル」というリズムで演奏されています。これを理解するためには、まず「シャッフル」というリズムを覚えましょう。
シャッフルとは
シャッフルというのは、3連系のリズムで、俗に「ハネる」とも表現しますね。「タッカタッカ…」というリズムで、跳ねているような感覚がすることから、そのまま「ハネる」というんですね。
楽譜では、始まりにこんな記号がついていると、この曲はハネますよ!(シャッフルですよ!)という合図になります。
そして、今回のリズム「ハーフタイムシャッフル」と「シャッフル」との違いは、8分音符でハネるか、16分音符でハネるかにあります。
シャッフルは、8分音符(8ビート)がハネたリズム。ハーフタイムシャッフルは、16分音符(16ビート)がハネたリズムです。
ハーフタイムシャッフルの場合の譜面の表記は、下図のように変わります。
リズムの話は、どんなに丁寧な説明を聞くよりも、聞いて感覚を掴むのが一番の近道! 曲によって、「ハネ方」が絶妙に変わるので、何回もよく聞いてフィーリングを掴んでいきましょう!
6連系フィルイン
「6連符!?」とびっくりするかもしれないですが、この曲自体が3連系の拍子(ハーフタイムシャッフル)なので、3連符×2の6連符のフィルインも登場します。
※フィルインというのは、ルートを弾く基本リズムパターンとは別に、小節の区切りなどで演奏されるフレーズのことです。俗にオカズと呼ぶこともあります。
上手く弾けないときは、まず声に出して歌ってみることから始めてくださいね!
【弾き方解説】バラードで映える音の長さコントール!ベーシストは「音価」が命!
引き続き、知っておくとワンランク演奏がアップするポイントです!
今回解説するのは、「音価(おんか)」。
聞き慣れない言葉だな〜と思われるかもしれないですが、「音の長さ」を意味します。
同じ4分音符で書かれている音でも、引っ張るように伸ばすのか、キレよく切るのか、というように長さ(音価)の違いによって、曲の表情は大きく変わります。
よく「リズム感がいい」という言葉で、打点が合う(メトロノームと合う)ことが注目されがちですが、「どこで音を切るのか」というコントロール力もいいリズム感には欠かせない要素なのです。
音の鳴り始めから終わりまで、丁寧に音を追う。この意識を持つことで、演奏力はぐんとアップすること間違いなし!
【コード解説】“王道コード進行”を理解しよう!切なさ漂うディミニッシュ!?
「この曲のサビは切なくてイイな〜」とか、思うことありませんか?
その切なさの裏には、切なくなるコードの仕掛けがあるのです。今回は、そんなコードについてのお話です。
コードの基礎知識「ダイアトニック・コード」
「コードよくわからない!」と苦手意識を持っている方も多いですが、しっかり1つ1つ理解していけば、難しいことはありません。算数で掛け算の前に足し算を習うように、順番に理解していけば、どんどんいろんなコードが理解できるようになり、聴き取れるようにもなります。頑張りましょう(^^)
まず、一番最初に「ダイアトニック・コード」を覚えましょう。これは必修です! 曲に出てくるコードは、ダイアトニック・コードかダイアトニック・コードではないコード(ノンダイアトニックコード)かの2つに大別されます。
ダイアトニック・コードとは、メジャー・スケールの音を1つ飛ばしに積み上げたコードのことを言います。この曲は、キーG♭で、ダイアトニック・コードは以下の通り。
中心の音(今回は「G♭」)から数字を振って、コード進行を456(ヨンゴーロク)とか451(ヨンゴーイチ)というように呼びます。
456だとしたら、「C♭→D♭→E♭m」ですね。
覚えておきたいコードの性質
コードは、例えば先ほどの例の「C♭→D♭→E♭m」というように“流れ”が出来たときに、性質を持つようになります。
今回覚えておきたいのは、「着地感(終止感)」。
この着地感を生み出すコードは、ダイアトニック・コードの中でも2つだけ。
「Ⅰ」と「Ⅵm」のコードです。今回のキー(G♭)で言うと、「G♭」と「E♭m」にあたります。
切ないコードテク「パッシングディミニッシュ」
「ディミニッシュ」って、少し難しそうな(でもかっこいい?笑)名前をしていますが、このコードテクニックは、もはや邦楽ロックの常套句! 覚えておいて損はありません。
先程の「456」のコード進行の「5」と「6」の間に「ディミニッシュ・コード」が入ります。
こうしたコード(ルート音を)を半音ずつ経過する(pass)という意味で、「パッシングディミニッシュ」と呼びます。
「456」のコード進行よりも、”着地”の前にもうワンクッション入ることで、ぎゅっと着地に向けた期待感が高まり、そのサウンドは感情が極まったように切なく聞こえますね。
この曲は同じようなコード進行が繰り返されるので、ちょっとした変化がいい意味で目立ちますね。特に歌詞と相まって、いい効果を生み出しています。毎回入るとくどくなりすぎるので、「ココぞ!」というところで使っているんですね。「作曲もしてみたい!」という方は、ぜひ取り入れてみてください。
【指板解説】似たようなコード進行…どうバリエーションを増やす?
この曲は、「456」や「4561」のような似たようなコードの繰り返しがメインになっています。
するとどうなるのか?
ベースラインが単調になりやすいのですね。ベーシストとしては、「なんか……つまらないラインだね」なんて言われた日には、枕を濡らして寝るしかありません。
そうならないためにも、指板上の音の「同じ音」、「オクターヴ上の音」の配置を覚えていきましょう。
着地を変える
「4561」のコード進行のときに、「1」をオクターブ上に行くか、下に行くかという違いだけでも、ベースラインは豊かになります。
曲が盛り上がったら、オクターブ上に!
曲が盛り上がってきたときに、通常のベースラインもオクターブ上に上げるという方法も使えます。
異弦同音を使いこなそう
ベースは、同じ音程の音が数箇所で鳴らすことが出来る楽器です。(ピアノなどにはありません!)
異なる弦に同じ音があることを「異弦同音」と呼びます。
前項の「456」を別のポジションでも弾いてみましょう。
【コード解説】突然のE!?同主調の代理コードを使って曲にスパイスを!
解説動画③に引き続き、この曲で使われているコードのテクニックについてお話していきます。
ダイアトニック・コード以外のコード(ノンダイアトニック・コード)が曲の後半「突然の転校で〜」のときに出現します。今回は、そのコード進行についてお話ししていきましょう。
メジャー・キーとマイナー・キーのコードは相性がいい?
1曲を構成するコードは、ダイアトニック・コードか、そうでないコード(ノンダイアトニック・コード)か、に二分されます。そして、ノンダイアトニック・コードとして現れるコードも、何パターンか頻出するものがあります。
今回お伝えするコードテクニックも、Popsなどでは常套のテクニックです!
この曲のキーは「G♭メジャー」ですが、そこに「G♭マイナー」のダイアトニック・コードが混ざってきます。中心となる音(主音)が同じキーは、激しく外れた感じにもならず、良いスパイスとして使われます。
同主調とは?
「キーC」と「キーCm」のように、主音(この場合は、C音のこと)が同じキーのことを「同主調」と言います。
繰り返しの中でスパイスになる!
今回の場合では、「C♭-D♭-G♭」というダイアトニック・コードのみの進行と交互に出てきますが、同じコードを繰り返すのではなく、こうしたちょっと違うコードを入れてあげることで、曲にメリハリが生まれていますね。
【ベースラインづくり】スライド先の5度の音が曲を盛り上げる!?
今回の動画では、ベースラインづくりのテクニックを解説していきます。
ベースラインをつくるときに、コードのルート、そして5度の音というのは、よく使われる音です。
その5度の音も、指が届きやすい位置のポジションではなく、あえてスライドさせて、同じ弦で弾くことで、グイグイと迫りくるような印象を与えていますね。
同じ音を使っていても、「弾き方」によっても、ベースラインは表情が変わるところが面白いですね!
【6連符攻略】慣れないリズムはどう練習する?
さて、解説もいよいよ最終回! 曲のクライマックスについて解説します。
一番最後のサビの前に「ブレイク」が入りますが、そのときにしっかりとドラムとリズムを合わせられるように練習していきましょう。
「チェンジアップ」でリズム攻略
メトロノームをかけて、4分音符〜8分音符〜ハネた16分音符〜6連符を切り替える練習をしていきましょう。
速さは、今、余裕をもって弾けるテンポでやります。指が追いつかない場合は、無理に曲のテンポで練習する必要はありません。
まとめ:ハネたリズムを掴んで、気持ち良いラインを弾こう!
さて、「Secret Base ~君がくれたもの~」のベースライン解説いかがでしたでしょうか? 何回も曲を聴いて、しっかりと「ハネる」という感覚を掴んで、気持ちよく演奏していきましょう。
コードやラインの意味が分かると、気持ちも乗りやすくなります。
- ハーフタイムシャッフルのノリ
- 異弦同音から生まれるニュアンス
- ノンダイアトニック・コードのスパイス
これらをしっかり掴んで、楽しくベースラインを攻略していきましょう!