1台2役のバッファー付き小型チューナーPolyTune3mini noirを選んだ3つの理由

「チューナーってどんなポイントを見て、選んだらいいのかな?」

「ポリチューン(PolyTune)のチューナー使っている人多いけど、ミニと通常版のどっちがいいんだろう?」

そんな疑問にお答えするべく、今回の記事では、私がポリチューン“ミニ”を選んだ3つの要素、

  1. ポリフォニック・チューナー
  2. バッファードバイパス
  3. サイズ

についてお話していきます。

こんにちは、ベースライン研究所所長のたぺです。当研究所(サイト)にお越しいただきありがとうございます!ここを訪れてくれたあなたも既にベースをこよなく愛する研究員。共にかっこいいベースライン作りの研究をしていきましょう!

ポリフォニック・チューナーとは?

「ポリフォニック・チューナー」というのは、一度に複数の弦をチューニングできる機能を持っているということです。(「ポリ(poly-)」という言葉は、「複数」という意味があります。ポリリズムなど、他の用語とも合わさって使われているのを見たことがあるかと思います。)

1本1本弾いて確認して……と、わずかな時間ながら煩わしい作業を一度で確認することができる嬉しい機能です。ポリフォニックチューナーを使えば、一度弾いて、全体のチューニングを確認、ズレていればその弦だけをクロマチック・チューナーモードで調整、ズレていなければ、1回全弦を鳴らすだけでチューニング完了です。

チューナーを信じるな?

ポリチューンには、3つのチューニングモードが搭載されており、それぞれチューニングの精度が異なります。

  1. ポリフォニック:複数の弦のチューニング状態を同時に表示
  2. クロマチック:弦1本ずつチューニングを表示
  3. ストロボ:超高精度のチューニングが可能

この中で、ストロボモードはとても高性能で、リペアマン(楽器の修理屋さん)が使うのは、基本的にこのストロボモードを搭載したチューナーです。

クロマチック・モード、ポリフォニック・モードは、多少精度が劣るわけなのです。

ですから、ポリフォニック・モードでチューニングして安心せず、最終的にはよく自分の耳で確認する癖をつけていくことが大切です。そうして、ピッチに敏感な耳を育てていくことで、演奏中にズレても、すぐに察知できるようになりますよ(^_-)-☆

ベース向きじゃない?

ベースでは、このポリフォニック・モードはうまく動作しないようです^^;

ポリフォニック・モードは、左からEADGBEのチューニングなので、ギター用のチューニングモードのようですね。

バッファードバイパスとは?

私がこのポリチューンを選んだ理由として、一番大きいのがこの性能です。

「バッファードバイパス」とは、「バッファー回路を通るよ」という意味なのですが、そもそも“バッファー”とはなにか? わからない方もいるでしょうから、説明していきましょう。

バッファーとは

「バッファー」はなんのために必要なのか、一言で言えば、「音の劣化を防ぐため」です。楽器のピックアップ(マイクのようなもの)で拾われた音は、“とても小さい信号”としてシールドで伝わります。

“とても小さい信号”であることから、信号を運ぶ距離、つまり楽器からアンプまでのシールドが長くなるほど音質は劣化しやすく、またちょっとしたノイズでも影響が大きくなります。雪見だいふく(大きな信号)は一口あげられても、アイスの実(小さな信号)を一口あげるほうがダメージが大きいですよね!笑

そんなアンプと楽器の間に来るエフェクターで一度信号を大きくし、劣化を防ぐ役割を担ってくれるのが「バッファー」というわけです。

例えば、楽器→エフェクターまで5m、エフェクターからアンプまで5mのシールドを使っていたら、合計の長さは10mになりますね。エフェクターも通過するのでそれ以上の距離です。この間でバッファーがない場合は、とても弱い信号を送る距離が10mになり、音質の劣化は免れられません。バッファーを通ることで、5m地点で一度信号を大きくするので、その後の5mの距離はノイズ、劣化を防ぎやすくなります。

今日はじめて、バッファーという言葉を知った! という方は、食品が腐敗を防ぐために保存料を使うようなイメージで、バッファーは音の劣化を防ぐための保存料と覚えておいても良いでしょう。

トゥルーバイパス VS バッファードバイパス

バッファーを理解したところで、もう一度「バッファードバイパス」のエフェクターの説明に戻ると、このタイプはエフェクターのON-OFFに関係なく、バッファーを通る設計であるということを指します。つまり、チューナーをオフにしていても、バッファー回路を通り、音質劣化を防ぐ機材として使用ができる、ということですね。

これに対して、スイッチオフ時は、バッファー回路を通らない設計を「トゥルーバイパス」と呼びます。

「ノイズ対策してくれるんだから、バッファードバイパスの方がいいんじゃない?」と思われた方もいるかもしれませんが、もちろんバッファーを通るデメリットも存在します。

それは、良くも悪くも、音にバッファーの特徴が入ってくるという点です。もちろん好きなバッファーと出会えれば、それをかければよいのですが、他のエフェクターで踏みっぱなしにしているものがあって、その音を気に入っているのであれば、無理にバッファーを通す必要はありません。

今回紹介しているポリチューンでは、バッファードバイパスとトゥルーバイパスの“切り替えスイッチ”がついていて、その時々に変更できるので、その点は安心ですね。

バッファーを通したとき・通さないときを聴き比べて、好きな方を選びましょう!(^^)

アクティブベースならバッファー要らない?

アクティブタイプのベースは、ベースに内蔵された回路を通り、パッシブタイプのベースよりも信号が強い状態で、シールドへと流れます。ですから、ノイズ・音質劣化の観点だけで言えば、アクティブの方が優秀ではあります。

だからといって、「自分のベースはアクティブだから、バッファー要らないや」と安直には考えず、一度聴き比べて、必要か必要でないか自分の好みに合わせて選ぶことが大切ですよ(^_-)-☆

サイズって大事?

3つ目の理由は、「サイズ」。

もしかしたら、「え? どうして、サイズを気にするの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。ですが、演奏する体で重い機材も持ち運びするというのは、意外と大変なもの。移動に頑張りすぎて、スタジオで手が痛くて弾きづらい……なんてことはなるべく防ぎたいですよね。

これまでの私のペダルチューナーは、BOSSのクロマチック・チューナー(TU-2)でしたが、重いし大きい。もちろん、パワーサプライ的な機能がついているというメリットもありますが、パワーサプライは別に持っているので、チューナーを軽量化しようと思い立ち、小さい方のポリチューンを選びました(^^)

ミニと通常版の違いは?

私が今回購入したのは、ポリチューンのミニバージョンの方ですが、これは残念ながら通常バージョンと同じ機能があるわけではありません。

▼通常版▼

重さ、小ささという機動性の代わりに犠牲になったいくつかの機能もあります。その点を見て、自分にその機能が必要か否かでミニを取るか、通常バージョンを取るかを考えてみてくださいね!

大きな違いは、以下の3点。

  1. キャリブレーション
  2. パワーサプライ機能
  3. USBが挿せる

キャリブレーションとは

キャリブレーションとは、音楽において使われる場合は、基準音である「A音」を何ヘルツとして設定するか、という機能を指します。

これがミニの場合は、440Hz(ヘルツ)で固定、通常版では、435〜445Hzの間で設定できます。

もしあなたが、ドラム、ギター、ベース、キーボードのようなバンド編成で演奏する場合には、440Hz固定でも問題ありませんが、ピアノや管楽器など、アコースティック楽器と演奏する機会があるのであれば、キャリブレーションが設定できる通常版を選んだほうが良いでしょう。

サイズを取るのか、キャリブレーションを取るのかで、ミニを選ぶか選ばないかは大きく分かれるところです。

パワーサプライ機能

エフェクターを動かすためには電力が必要ですね。そんなエフェクターに電力(パワー)を供給(サプライ)する装置を「パワーサプライ」と呼びます。

バッファーがバッファー専用の個体があるのと同じように、パワーサプライにもパワーサプライ専用の機器はありますが、ポリチューン3の通常版には、パワーサプライ機能も搭載されています。

「なるべくエフェクターボードはコンパクトにしたい……けど、キャリブレーションの機能もほしい」という場合は、通常版ポリチューンを選び、パワーサプライとしても使えば、パワーサプライ分のスペースは縮小することができますね。

パワーサプライとして使うときの注意点

パワーサプライとして使う場合、タコ足的につないでいくとノイズ問題も別途出てくる場合もあります。特に、アナログエフェクターとデジタルエフェクターを横並びに使うときです。パワーサプライに関しては、また別の記事で詳しく解説していきますね。

「色々機能ついてて、ラッキー♪」と思う裏側には、デメリットが有るということを覚えておきましょう!

チューナーにUSB?何に使うの?

これは、なにか中身のプログラムがアップデートされたときに更新するためについています。ミニには、USBポートはついていないので、サイズの代わりにアップデートにはついていけない、ということになりますね。

メーカーの“tc electronic”のサイトで公開されている「ファームウェア」というのが、更新できるものですね。

tc electronic公式サイト
https://www.tcelectronic.com/Categories/Tcelectronic/Guitar/Tuners/POLYTUNE-3/p/P0CM0/Downloads

ポリチューン3の発売が、2017年5月で、現在の最新ファームウェアは2018年5月30日のもの。(2020年1月現在)あまり頻繁に更新されるものでもない、と考えて、ミニを選ぶのもアリですね。

ポリチューンを選ぶ基準まとめ

色々とたくさんの情報があって、どっちにしようかな〜と迷っているあなたのために、最後にまとめていきましょう。

1)キャリブレーションが固定だと困る?

……A音が440Hzで固定じゃない方がいい!という場合は、通常版を選びましょう。特に変える必要がなければ、ミニでもOK。

2)パワーサプライとしての機能が必要?

……使いたいパワーサプライをすでに持っているならば、ミニでもOK。パワーサプライ分のスペースを節約したいなら、通常版。

性能的には、この2点が大きいのではないかなと思います。(ちなみに残念ながら、通常版に黒”noir”バージョンはありません……)

安くはない買い物ですから、ぜひしっかり考えて、良いボードづくりをしていきましょう(^^)

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