【演奏動画の始め方】録音環境3つの方法・必要機材の基礎知識

「これからYouTubeやTwitterに演奏動画を上げてみたい! でも、あれってどう作ればいいの?」

ライブハウスに出演せずとも、今はネットに演奏動画を上げることで、自分の演奏を見てもらいやすい時代になりましたね。

しかし、いざやってみようと思っても、「みんな、どうやって撮っているの? 何が必要なの?」と分からないことも多いかと思います。

今回の記事では、「これから演奏動画を上げてみたい!」と考える方へ難易度別に3つ“自宅でできる録音環境”について解説していきます。

録音や編集の仕方などの細かい話は、また別の記事で解説していきますので、今回は“準備編“として、3つの録音・録画方法のメリット・デメリットについてお話します。

こんにちは、ベースライン研究所所長のたぺです。当研究所(サイト)にお越しいただきありがとうございます!ここを訪れてくれたあなたも既にベースをこよなく愛する研究員。共にかっこいいベースライン作りの研究をしていきましょう!

録音・録画の大前提

まず今回解説していく「演奏動画」の作り方の前提として

何かしらの音源の上でベースを録る
ということで考えていきます。
つまり今回の準備は、すでにあなたが演奏したいと思っている楽曲の音源(オケ)があるという状態からスタートしていきます。
準備する機材はこの記事とも共通なものが多数なので、こちらの記事も参考にしてみてください

一番簡単な方法とメリット・デメリット

あまりやっている人は少ないですが、音源をスピーカーで再生し、ベースの音はアンプで出している状態をそのままスマホで撮影する、というのが一番シンプルで簡単な方法です。

準備するものも音源を再生するプレイヤーとスマホがあればできてしまうので、予算的にもリーズナブルなのがメリットです。

しかしこのやり方では、撮影後に「あれ? ベースの音ちっちゃいな〜」と思っても、音量バランスの調整ができないので、撮り直しになります。

そうした問題を防ぐためにも、「合わせたい音源」と「演奏の録音」は、別の音声ファイルにするという方法が主流です。

このように撮影・録音することで、後から編集ソフトでこれらを合わせるときに、音量バランスなどを調整することができます。

難易度1:マイク録音

音源とベース音を別録りにする方法で一番簡単な方法から解説していきましょう。

難易度1は、「マイク録音」

用意するもの

  • スマホ(カメラ)
  • スマホ(カメラ)スタンド
  • アンプ
  • (スマホorカメラ用の良いマイク)

メリット

  • 撮影も手軽で編集も楽
  • 空気感・ライブ感が出る

デメリット

  • 家でアンプを鳴らせないと環境的に無理
  • 生音のパチパチ音が入る可能性がある

手順

  1. ベースの音をアンプから出し、それをスマホ(またはカメラ)で録音・録画する。オケは、イヤホンで聞きながら演奏します。
  2. iMovieのような動画編集ソフトで、録画した演奏動画(自分の音だけ入っている動画データ)にオケ(オーディオファイル)を重ねます。

特徴

イヤホンをするので、自分の音が聞きづらいという難点はありますが、最初に解説した「音源を流した上でベースを弾いているところを撮影する」という一番簡単な方法に近く、とても手軽に録音できます。

スマホ内蔵のマイクで録音するのでは、あまり音質は良くないので、外部マイクを使うことで音質アップを狙うことができます。できれば、良いコンデンサーマイクを用意しましょう。

スマホに繋いで使えるものもあります。

スマホに繋げるタイプの高性能マイクは、
「録音には使えるけど、ZOOMなどのオンライン通話やライブ配信に使えない」などもあります。
また、USBやライトニングケーブルでの接続のため後に話す「オーディオインターフェース」には繋げないので、
後のライン録音を行う予定の方は、ここのマイクはスルーしてしまってください!

 

スタジオなどでもよく使われるSHUREというメーカーからも販売されています。

このようにコードでつなげるものは、スマホからマイクを離して、アンプに近づけて録音することができるのでオススメです。

 

「もっと手軽なマイクが良いな〜」と思われる方には、スマホに直接取り付けるタイプのマイクもあります。(これもSHUREです)

このタイプでは、手軽な反面マイクはスマホの位置に固定になってしまうのが弱点です。

このマイクは持ち運びもラクチンなので、バンドのスタジオ練習のときに持っていって、簡易的に録音・録画したいときには便利です。

マイク録音は、手軽な反面、アンプから音を出さなければいけないので、住環境的に難しい場合に不可能というのがデメリットがあります。

また、アンプからしっかりと音を出して、マイクをアンプに近づけて録らないと、演奏時のパチパチというアタック音が入ってしまうことがあります。

ベースの低音は響きやすいことからも、マンション・アパートではこの方法での録音は難しいかもしれませんね。

もしもマイク録音したいなら

「家で音が出せない!」という環境であれば、リハーサルスタジオを利用するのも一つの手です。

スタジオレンタル代はかかってしまいますが、マイク録音において十分な音量を出すことができるメリットが大きいですね。

通常スタジオは、1時間単位の時間貸しとなるので、決められた時間内にとりきらなければいけない! というちょっとしたプレッシャーもあります。

「時間内に撮り切るぞ!」と集中しやすい環境であるとも言えますね。

 

「家で出せない、スタジオが近くにない」「スタジオに機材を運ぶのが大変」という観点からも、実際には次の難易度2の撮影方法が一番主流かもしれません。

難易度2:ライン録音

最も主流な方法とされるのが、この「ライン録音」という方法です。

用意するもの

  • スマホ(カメラ)
  • スマホ(カメラ)スタンド
  • オーディオインターフェース
  • DAWソフト(作曲ソフト)

メリット

  • 音質がかなりクリア
  • 撮った後に編集で音の加工もしやすい
  • アンプで音を出さないため小音で苦情にならない。

デメリット

  • 機材やソフトを使うため難易度が上がる。
  • ライン直では音がしょぼい。

「ライン録音」というのは、ベースからアンプに繋ぐのではなく、パソコンへと繋ぎ、録音していく方法のことです。

ペースとアンプを繋いでいたシールドは、パソコンには直接差せませんね。そして、アンプを通らないベースの音(信号)というのは、とても小さいものなので、接続するために「オーディオインターフェース」というものが必要になってきます。

そして、パソコン上で録音していくために「DAWソフト」も準備します。

“DAW”はデジタルオーディオワークステーションの略。ざっくりと言えば、作曲のためのソフト。オーディオインターフェースを買うとついてくる場合もあります。

たぺは、Logic Pro XというMacの有料のソフトを使っています。Mac用のプロ仕様のソフトなので、突き詰めていきたい方にはオススメです。
(Logi Pro Xはプロ仕様のソフトの中でもかなり安価です。Mac限定ですが…)

Macには、無料のGarageBandというDAWが入っています。これは、iPhoneやiPadでも使えますので、それを使っても録音できます。

手順

  1. ベースをオーディオインターフェースに通し、パソコンへと接続する。
  2. DAWソフトを使って、演奏を録音。オケは、演奏と一緒にイヤホン(ヘッドホン)に流す。同時にスマホ(またはカメラ)で演奏風景を撮影する。
  3. DAWソフトで録音した音を調整する。
  4. 動画編集ソフトを使って、撮影した映像(映像の音量はゼロにする)と録音した音を合わせる。

特徴

ライン録音の大きなメリットは、ベースから直接録音するので、マイク録音時のような雑音(周りの生活音、アタック音など)が入らず、きれいに録れることです。

それから、音を後から「加工」することができます。

音作りのためのイコライジングを変えることはもちろんですが、「パンチ録音」と言って、一部分だけを録り直して、繋ぎ合わせるということも可能です。(なるべくなら、しないほうがいいですけどね!)

ライン録音のデメリットは、機材を揃えて、使いこなさなければいけないことです。

また、ライン録音というのは、アンプを通さないので、音がしょぼい感じになります。

アンプから聞いている音というのは、アンプの中のプリアンプ回路で音色が整えられ、スピーカーから空間を介して、耳に届いた音です。

ライン録音では、この過程がないためにペラペラとした印象の音になります。

これを防ぐために、SANSAMPなどのプリアンプをベースとオーディオインターフェースの間に繋ぐ必要があります。

キャビネットシミュレーション内臓の最強プリアンプ「Darkglass」のUltraシリーズ

プリアンプの中でも特にDarkglassのプリアンプで「Ultra」とつくシリーズは「キャビネットシミュレーション」を内蔵しています。これは簡単に言うと、「ライン録音でもアンプから音を出してマイクで録ったような音」が再現できるので、家で録音する際にとてもリアルなサウンドにできます。

プリアンプとしてもとても優秀なので、1台は持っておいて損はないですね。

なので、実際にはプリアンプやアンプシミュレーターなどが必要になってきます。

また、カメラ(スマホ)での映像の撮影と演奏の録音が別工程になるので、撮影ボタンを2つ押さなければいけないところも注意したいポイントです。

せっかく上手く弾けたのに、録音のほうが押し忘れていた! なんていうことも、たまにあります^^;

映像と演奏は、最後に編集で上手に動きに合うように合わせていきます。

スマホ(映像)に録音された生音を頼りに演奏と合わせます。

iPhoneでライン録音するなら

「iRig(アイリグ)」などのスマホ用オーディオインターフェースが必要です。

iRigには「iRig2」というのが出ていますが、「iRig2」は「スマホとアンプに同時接続できる」という機能が追加されているくらいなので

家でイヤホンを使って録音する場合は、「iRig」で十分かと思います。(ちなみに偽物がたくさん出ているので注意しましょう!)

パソコンを使わないライン録音

「パソコンがない!」「パソコンが苦手(T_T)」という場合でも、先ほど紹介したスマホを使って録音することができますし、またMTR(マルチトラックレコーダー)という機材で録音することもできます。

マルチトラックレコーダーというのは、ベースやドラムなど複数の別々に録音したものを同時再生することができる機材です。

 

難易度3:ライン&マイク録音、2カメ以上録画

「より動きのある映像にしたい」「CDのように音質を高めたい」という方のために、更に上級向けの演奏動画撮影環境を紹介します。

用意するもの(一部)

  • スマホやカメラ2台以上
  • スマホやカメラのスタンド
  • オーディオインターフェース
  • DAWソフト(作曲ソフト)
  • ハイスペックなパソコン
  • ハイスペックな動画編集ソフト
  • マイク(できればコンデンサーマイク)
  • アンプ
  • DI(ダイレクトボックス)
    ※ラインとマイクの同時録音するのに必要

メリット

  • 音質も映像もハイクオリティ

デメリット

  • とにかく手間がかかる
  • サンプリングレートやFPSなどの専門的な知識が必要
  • ハイスペックなパソコンやアプリが必要

特徴

カメラが一点で固定の撮影よりも、2カメ、3カメと撮影方向が変わることで、PVのように動きのある映像になります。(2カメ=2つのカメラで撮影すること)

また音声も、マイク録音とライン録音を合わせるということもできます。マイク録音の「エアー感のある良さ」とライン録音の「音の輪郭がくっきりとした良さ」のいいとこ取りです。

ベースの音をラインとアンプの2方向に流さなければいけないので、DI(ダイレクト・ボックス)が必要です。DIはプリアンプについている場合もあります。

またマイクで拾った音、ラインの音を同時入力できるよりハイスペックなオーディオインターフェースも必要になります。

作業工程が増える分、手間が増えるというデメリットがあります。

たぺの場合、「目で見る音作りシリーズ」で演奏動画とパソコンの画面録画を同時にすることがあって、たまに片方を押し忘れてしまうことがあります。喋り終わった後に録画されていないことに気がついたときは悲惨です(T_T)

専門的な知識が必要になる

2つの動画や音声を合わせる作業は、アナログに折り紙をチョキチョキと切って貼る、というような作業ではないので、デジタル的な知識も必要になります。

音であれば、サンプリングレート、映像であれば、FPSという知識は持っておいたほうが良いです。

「ただ撮影したものを合わせるだけじゃないの?」と思いきや、これらが違っていると、同じ3分の録音録画のはずなのにズレてしまう……という現象も起こります。(たぺの実体験です)

Fream Per Secondの略。1秒間に何枚の静止画を使って動画にしているのかを表す数値。

枚数が多い(FPSが高い)となめらかな動きになります。(その分ファイルサイズが大きくなる)逆に、枚数が少ないとパラパラ漫画のように動きがカクカクとした感じになります。

例えば、スマホのカメラと、別のカメラで撮ったものを合わせるときに、このFPSの数値が違うと同じ時間撮影した映像もどんどんズレていくという現象が起きます。

演奏動画の始め方まとめ

自分ができそうな演奏環境は決まりましたか?

もし、家の中でも音が出せて、手軽さを優先するのであれば、「マイク録音」

機材を揃えて、きれいに音を録音していきたい場合は「ライン録音」

よりハイレベルな動画作りを目指すなら「ライン&マイク録音、2カメ以上録画」

自分のやりたいことや環境に合わせて、必要なものを少しずつ集めていきましょう。

「やりたい!」という気持ちが大切だと思いますので、ここに書いてある機材を揃えてからにしよう……とせず、

まずは今の状況でできそうなことから始めてみること

をオススメします。

それでは、楽しい撮影&宅録ライフを♪

 

具体的な機材についてはこちらの記事も参考に!

【ZOOM音楽レッスンの始め方】自宅環境に合わせたオンラインレッスンを始めるための準備(生徒も講師も準備しよう)