コンプの役目は音圧アップだけじゃない!?ベースでコンプレッサーを使いこなす3つの役割とデメリット

ベーシスト界隈では何かとお騒がせの「コンプレッサー(通称“コンプ”)」。中には「下手を隠すための機械だ!」なんていう意見を持つ人もいますが、実は、使い方次第では「コンプのせいで下手に聞こえる」ということもあります。

そこで今回は、コンプでできる3つの音作りについて理解し、コンプのメリット・デメリットを学んでいきましょう。

こんにちは、ベースライン研究所所長のたぺです。当研究所(サイト)にお越しいただきありがとうございます!ここを訪れてくれたあなたも既にベースをこよなく愛する研究員。共にかっこいいベースライン作りの研究をしていきましょう!

コンプ3つの使い方

他のエフェクターに比べ、コンプは少し効果を理解しづらいエフェクターだと感じている方も多いでしょう。歪みサウンドを作るオーバードライブや残響感を生み出すリヴァーブ、というようなエフェクターと違って、使い方によって全く違う効果を生み出せるのがコンプレッサーなのです。

今回は、コンプによって得られる3つの効果

  1. 音の粒を揃える
  2. サスティン(持続音)を伸ばす
  3. パーカッシブな音作り

について解説していきます。

覚えておきたいコンプ用語

この記事を理解するためには、以下の4つのコンプ用語を覚えておきましょう。

・スレッショルド:コンプがかかり始める音量のライン
・レシオ:音の圧縮率(音を押さえ込む力加減)
・アタックタイム:圧縮を始めるまでの時間
・リリースタイム:圧縮を止めるまでの時間

より詳しく用語については、こちらで解説していますので、「用語がよくわからない!」という方は、ぜひ参考にしてください。

コンプレッサーを使いこなすための5つの用語

今回の実験環境

弾き方によって、差が出てしまわないように演奏をルーパーに入れて、同じフレーズをループさせながら、コンプによる効果を見て(聞いて)いきましょう。

コンプレッサーは、今回は機能を説明するために、より多機能なempress effects(エンプレスエフェクト)のcompressorを使っていきます。

今回はより標準的なコンプ感といった音作りを仮定して、レシオは4:1で設定していきます。またこの機種では、コンプ音とコンプのかかっていない音(原音)のブレンドを選べますが、変化をわかりやすくするためにコンプ音100%の設定で聴き比べていきましょう。

スレッショルドの設定はありませんが、インプットの音量でコンプのかかり具合を調整することができます。

<補足>インプットとアウトプットの役割の違い

ここは、empress effectsのコンプのことを知りたいよ! という方だけ読んでみてください。

効果1:音の粒を揃える

コンプを使うことで得られる効果として代表的なのが「音圧を上げる」こと。(動画4:38〜)音圧を上げるという過程(目的)でコンプを使っていくことで、「音の粒を揃える」、また次の項目で解説していく2つ目の効果「サスティンを伸ばす」という効果を得ることができます。

音圧を上げる、とは?

例えば、一部分だけ音が大きく音割れしてしまうような演奏を、単純に音量を下げてしまうと、小さい音がより小さくなり聞こえなくなってしまうということが起きます。全体的な音量も下がるので、相対的に音圧も下がります。

コンプを使うことで、超えて欲しくない最大音量の部分だけを押さえることができるので、音量差をなくすことができます。全体的な音量が上がることで、音圧も上がります。

大きすぎる音、小さすぎる音のバラつきを押さえることで、「音の粒が揃った」という効果を得ることができます。同時に音量差をなくして、全体音量を上げられるので音圧も上がります。

効果2:サスティン(持続音)を伸ばす

コンプを使うことで得られる効果2つ目、「サスティン(持続音)を伸ばす」について解説していきます。(動画6:50〜

ベースの音は、何もエフェクトをかけずに弾いた場合、基本的には、弦にピックや指が当たった音「アタック音」が最大になり、弦の振動が減衰していくに従って、音が消えていきます。

コンプを使って、一番音の大きい部分であるアタック音を叩くことにより、アタック音と実音の音量差をなくすことで、実音(サスティン)を伸ばすことができるのです。

コンプの設定は、1つ目の効果と目的は同じなので、変えていません。アタックタイム、リリースタイムともに最速に設定してあります。

アタックタイムが最速だと、しっかりとアタック音が潰せます。リリースタイムが最速だとアタック音だけを潰して、即コンプ解除されるような設定なので、潰した後の持続音にはコンプがかからず、しっかりと音が伸びます。

このように設定することで、アタック音は押さえつつ、実音はしっかりと音量を確保することができます。

効果3:パーカッシブな音作り

3つ目の効果「パーカッシブな音作り」は、今までの効果1、2とは大きく設定が変わってきます。(動画10:08〜)これは、補正というよりも、より音作りという目的でコンプを使っていきます。

ベースでパーカッシブ……といえば、スラップですね。叩いたり、引っ張ったり、打楽器的に演奏する奏法です。この場合は、打点(アタック)を強調したほうがより映えるスラップのサウンドになります。

効果1、2では、アタック音を叩くというような使い方をしてきましたが、この使い方は全く逆でアタック音をしっかりと残すことがポイントになってきます。なので、アタックタイムを遅く設定していきます。

リリースタイムの設定についてですが、リリースタイムが遅くなるとコンプのかかっている時間は長くなります。今回のように打点を強調して音量差をつけたいという使い方の場合は、リリースタイムも少し遅めに設定していきます。

コンプというと、音を潰して揃える、というイメージが強いですが、実はあえて音量差をつけるという使い方もできるのです。

コンプを使うデメリット

ここまで、コンプの使い方を説明してきましたが、良い側面だけでなく悪い側面についても理解していきましょう。

余計な音が目立つ

コンプの使い方の1つ目に、「音の粒を揃える」という効果がありましたが、同時に本当は聞こえて欲しくないもの(ノイズ)も底上げされるということを知っておきましょう。

「音の粒が揃う」ので、安定性が手に入るという意味では「下手を隠すための機械だ」とも言われますが、逆にノイズも目立つことから「ヘタが目立つ」機材でもあるのがコンプレッサーなのです。ノイズが増強されることで、音が濁って聞こえてしまいます。

ですから、しっかりと弾いていない弦をミュートしたり、余計な音(ノイズ)が入らないように腕(技術)を磨くことも、コンプを使いこなすためには大事なことですね。

不自然な音の立ち上がり

今回使用しているempress effectsのコンプは、かなり詳細設定が可能なので、設定次第では、不自然な音にもなりえます。(動画11:02〜

レシオ10:1でかなり強力なコンプがかかった状態です。防音スタジオの扉の前に立っているようなボワボワとした感じに、音が出た瞬間に引っ込むようなちょっとした違和感がある音に感じますね。

不自然なサスティン

本来、音は時間とともに弱くなっていくものですが、リリースタイムの設定が適切でないと、変なところで音量の増減が起こってしまうことがあります。

このようによくわからずに適当な設定をしてしまうと、聞き心地が逆に悪くなってしまうことも起こりうるエフェクターですので、よく理解してセッティングしていきましょう。

コンプレッサーと上手に付き合っていくために

では、最後にコンプの使い方をもう一度まとめると

  1. 音の粒を揃える
  2. サスティン(持続音)を伸ばす
  3. パーカッシブな音作り

これら3つの効果を生み出すことができる機材です。

そして、こうした効果が出せる代わりに起こりやすい設定ミス

  1. 余計な音が目立つ
  2. 不自然な音の立ち上がり
  3. 不自然なサスティン

コンプをかけてるから大丈夫。と慢心せず、しっかり聞き心地の良い音が作れているかチェックしてみてくださいね!